百戦百勝は善の善なる者に非ず
百回戦って百回勝つよりも戦わずして勝つのが理想であるという意味です
戦争をしたら勝っても被害が出るから戦わない方が良いというのが一般的な解釈ですが
ちょっと別の解釈をしてみましょう
例えば化学反応は百回やれば百回とも同じ反応をするでしょう
では人間が同じ行動を百回して百回成功するでしょうか?
単純作業ならできますが、複雑になればなるほど難しいでしょう
なぜこの違いが生まれるかというと人には意志があるからです
戦争よりもスポーツのほうがイメージしやすいと思います
自分にも仲間にも対戦相手にも意思がある
一人一人が相手の意表を突こうと複雑な動きをすればするほど予測が困難になります
どうでしょうか。百戦百勝の作戦があります!なんていう人の言うことを信じられますか?
孫子
孫子の兵法は古代中国の時代からある書物ですが、現代にも通じる書となっています
古代の戦争は神頼みだったということを聞いたことがありますか?
戦争は負けたら終わりです。だから絶対的に信じられる神様の言うとおりにするのが一番いいと考えたわけです
時代が少し進んだら神様のかわりに、アレクサンダー大王の陣形やハンニバルの陣形が出てきます
陣形や戦いの状況が詳細に残されていて、敵が同じように動けばアレクサンダー大王やハンニバルと同じように動けば包囲殲滅が完了して勝利できると考えて陣形を組んでいました
敵がその通りに動く保証はないんですけどね・・・
これは実は神頼みと本質的には同じなんですね
こうすれば絶対に勝てる!ということを信じて戦っていたわけです。なぜなら信じられるものが無ければ、負けたら終わってしまう戦いに出られないからです
ところが孫子は違います
戦ったらどうなるかわからない
だから戦わないのが一番だよ!と言ってるわけです
どうしても戦わないといけないときも、こうした方が勝つ「確率」が高いよ!というのを過去の戦史から導き出しているんです
神様や過去の偉人の陣形のように絶対に勝てると信じさせるものではないんですね
これが孫子の特異性であり現代にも通じる書たるゆえんなんです