この記事を読んでわかること
- 記憶される過程と勉強したことを忘れてしまう原因がわかります。
- レベルに合わないものを勉強することの悪影響がわかります。
ブログを書いている人はこんな人
私は塾を経営しています。
学校のように一律で学習範囲や教材、提出物を決められていると、そのレベルに合わない生徒たちは置き去りにされてしまいます。そんな生徒をたくさん見てきました。
レベルに合わないものについては全て答えを丸写しにして提出するように指導しています。
いくつか理由があるのですが、記憶の側面からレベルに合わない学習の悪影響について解説します。
■結論
難しすぎる応用問題や習っていないところを無理やり頑張ろうとすると、次の2つの記憶の悪影響が出ます。
- 勉強したときの印象によって忘れてしまうことがあります。
- そのときの記憶の影響により他の勉強したことを忘れてしまう場合があります。
難しすぎる宿題は答えを丸写しにして提出するべき理由
記憶の整理
勉強して覚えようとするときに、脳では次の3つがおきています。
- 記銘 覚えること
- 保持 脳に保管すること
- 想起 思い出すこと 脳の中を検索して思い出す
応用問題や習っていない範囲を無理やり勉強すると、
②保持のときに他の勉強した内容まで忘れてしまう可能性があります。
保持は脳に保管して忘れないようにすることです。
忘れないようにすると言っても、すべてを覚えているわけではありません。
例えば、1週間前に食べた朝ご飯の内容を覚えていないと思います。
これは記憶が整理されているからです。
脳は眠っているときに記憶を整理してくれます。
覚えている必要のないことや、自分の心を傷つけることは記憶を整理するときに忘れてしまうようになっています。
- 今の自分に重要ではないこと・・・1週間前の朝ごはん
- 嫌なこと、ストレスに感じたこと・・・わからないところを無理やり勉強したこと
嫌なことやストレスに感じたことは自分の心を守るため忘れるようにできています。
よくわからない応用問題や、まだ習っていないところを無理やり勉強するのはストレスを感じますよね。
ストレスに感じたことは眠っているときに忘れようと脳が働くのです。
都合よく、そこだけを忘れてくれればいいですが、勉強した時間がストレスだったという印象になってしまうと、その日勉強で覚えたことは忘れやすくなってしまいます。
完全に忘れてしまうものは少ないかもしれませんが、細かい部分を忘れてしまって、せっかく覚えたものがあやふやになってしまうことは十分あり得ます。
忘れるメカニズム
記憶の干渉
- 始めに勉強して覚えた記憶があとの勉強の記憶に影響を与える
- あとの勉強で覚えた記憶が、前の勉強の記憶に影響を与える
例えば数学の『比例のグラフ』を勉強した後に、理科の『フックの法則』(バネの伸びは、バネを引く力の大きさに比例する)を勉強します。
そうすると数学、理科の両方とも比例の知識を使うので、記憶が促進され覚えやすくなります。
反対に『まったく関係ない知識』や『よくわからない言葉』が記憶に残っていると悪い影響が出ます。
2人の学生に単語を覚えてもらいました。
1人はそのあとすぐ眠ってもらい、もう1人はずっと起きてもらいました。
その後2人に単語テストをしたところ眠った学生の成績が良かったという実験です。
なぜ眠った学生の成績が良かったかというと
寝てしまうと脳に新しい情報が入ってこなくなるため、記憶に邪魔が入らなかったからです。
起きている学生は、目や耳からいろいろな情報が入ってきてしまったので、単語の記憶と影響しあい忘れてしまったのです。
つまり、よくわからない応用問題や習っていない範囲の問題を一生懸命考えれば考えるほど記憶の干渉が働きます。
- せっかく覚えたもの
- これから覚えようとするもの
これらまで覚えられなくなってしまうかもしれないのです。