この記事を読んでわかること
- 先延ばしをする理由がわかる。
- 先延ばしをしない工夫がわかる。
ブログを書いている人はこんな人
私は塾を経営しています。
多くの生徒を見てきましたが、夏休みの宿題をなかなか進めない、受験生なのになかなか火がつかない生徒も多くいました。
先延ばしは人ならではの性質です。それを受け入れたうえで対策を立てるように指導してきました。
参考図書
- ロイ・バウマイスター、 ジョン・ティアニー (著), 渡会圭子 (訳)『WILLPOWER 意志力の科学』
- メンタリストDaiGo著『自分を操る超集中力』
- ケリー・マクゴニガル 著『スタンフォードの自分を変える教室』
■結論
先延ばしは人間ならではの習性です。
気合でどうにかなるものではないので、仕組みを理解したうえで先延ばしをしない対策を立てる必要があります。
対策は次の2つです
- 一つのことに集中できる環境を作る
- 未来像を思い浮かべる
勉強の先延ばしを防ぐ『現在価値』の考え方
何気ない一コマですが、じつはこのとき勉強とLINEを比べて、LINEのほうが価値があると判断してLINEをしたのです。
無意識のうちに決断しているので、勉強とLINEの価値を比べて決断したとは思っていないと思います。
- 勉強は未来の自分のための頑張り(将来価値)
- LINEは現在の楽しみ(現在価値)
そして何も対策していないと現在の楽しみを無意識のうちに優先してしまうようになっています。
8/31になって夏休みの宿題が終わらない!と泣きながら頑張った人は、このような無意識の決断をたくさん行い、先延ばししているのです。
他を優先して勉強を先延ばしにしてしまう原因
先延ばしをする原因は人の脳の性質にあります。
チンパンジー19匹と人間40名の自制心を比較した実験があります。
チンパンジー、人間ともに『2つのおやつ』よりも『6つのおやつ』が欲しいということをあらかじめ確認しておきました。
次に
- 『2つのおやつ』をすぐにもらう
- 2分待ってから『6つのおやつ』をもらう
目の前におやつをおいてどちらが良いか選んでもらいました。
チンパンジーの72%が2分待って『6つのおやつ』を選びました。
しかし人間は19%しか2分待つことができませんでした。
意外にも、人間のほうが目先の誘惑に負けてしまうのです。
(ちなみにこの実験を受けた人たちはハーバード大学の学生さんでエリートさんたちです。)
なぜ誘惑に負けるのか
この実験結果には理由があります。
チンパンジーは人間の脳と比べて3分の1しかないので、
どちらが自分の利益になるか単純に比較するだけなのです。
人間の場合、時間の概念がはいります。『目先の利益』と『将来の利益』を時間を含めて考えたうえで行動を起こすようになっています。
この実験では2分後の6つよりも今の2つのほうを優先したということです。
他の人から見れば、不合理に見える選択ですが、脳はそのように判断してしまうのです。
なぜなら、人は目先の利益(現在価値)を高く見積もる習性があるためです。
そのため、余計に待つことはせずに目先の利益に飛びついてしまうのです。
この選択は『遅延による価値割引』といい、おやつを得るために長く待たなければならないほどそのおやつの価値が下がってしまうという考え方です。
現在価値を高く見積もる理由
『遅延による価値割引』は経済の世界でも『現在価値』、『将来価値』という言葉で表されます。
『現在価値』は今あるお金、『将来価値』は将来手にするだろうお金です。
仮に100万円が手元にあるとすると
- 1年に5%ずつ増やせるなら5年後には127万円になります。
- 1年に10%ずつ増やせるなら5年後は161万円になります。
- 1年に15%ずつ増やせるなら5年後は200万円になります。
仮に15%増えるなら、今の100万円というのは5年後の200万円と同じ価値といえます。
(ちなみに投資の神様と言われるウォーレンバフェットさんの今までの実績は、年20%ずつ増やしてきたそうです。15%でも神様レベルです。5年後に確実にもらえるなら10%や15%なら預けたほうがお得なはずです。)
投資の勉強をしているなどしていれば別ですが、多くの人は5年後の200万円よりも、目の前に100万円があればそれを選んでしまいます。
なぜなら今すぐ100万円を使えると思っただけで、使い道を考え、その楽しい未来にワクワクしてしまうからです。
このワクワクは脳のシステムが原因です。
脳には報酬系と呼ばれるところがあり、そこからドーパミンという物質を出すようになっています。
このドーパミンというのは『楽しいことがあるかも!ワクワク!』という気持ちのときに出て、人を行動させる役割を持ちます。
そして今すぐ行動したくなるので、いろいろな理由をつけて目の前の欲求を満たそうとします。
これが現在価値を過大に見積もってしまう原因になっているのです。
勉強を先延ばしにしないための解決策
解決策は2つあります。
- 現在価値と比べない
- 将来価値をはっきりさせる
この2つに注意すれば、後悔が少なくなります。
- チンパンジーと人間の実験
- 夏休みの宿題
- 受験勉強
前までの章で解説した通りこれらは現在価値と将来価値を比べて今やるか後でやるかを決めていました。
現在価値を過大に評価してしまい、勉強を後回しにしてしまって後悔する人も多いです。
- 現在価値を過大に評価すること
- 将来価値があいまいであること
を無くせば先延ばしをせずに勉強に集中することができます。
現在価値と比べない
現在価値と比べてしまうとどうしても目先の利益を優先してしまいます。
そこで解決策として『そもそも視界に入らないようにする』ようにしましょう。
例えば、友達とLINEをするか勉強をするかでLINEを選んでしまう場合はスマホを視界に入らないようにすると良いです。
スマホを見てしまった時点で、友達とのLINEが楽しいことを思い出し『楽しいことがあるかも!ワクワク!』となって友達とのLINEの価値が過大に評価されてしまうのです。
そもそも比較しなければ、勉強するしかないので、スマホが視界に入らないことが一番の解決策となります。
通知も切っておきましょう。
将来価値をはっきりさせる
将来像を具体的に思い浮かべることも解決策です。
夏休みの宿題をずっと残していたらどうなるのか
夏休みの宿題はやるべき量を全て机の上に置いてみると良いです。
ビジュアル化してスマホで写真を撮っておけば、ずっと宿題を残していたらヤバいという気持ちになれます。
受験で合格したらどんな未来が待っているのか
学校の写真や資料をいつも見える場所においておくと良いです。
医師志望の人が、白衣を着た自分の姿を写真に撮って飾っている例もあります。
頭の中だけで考えていてもなかなか具体的に思い描くことは難しいです。
やらないといけない量や、自分の将来の姿などをビジュアル化することで視覚に訴えましょう。