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なぜ日本の社会人は勉強しないのか 学校教育からの考察

  • 2020年8月3日
  • 2020年8月25日
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いつもは勉強法などについて紹介していますが
今回は自分の考察について書いてみようと思います

塾経営を始めて6年がたちました。その間、日本の教育についていろいろなことを考えさせられました。

この記事では私が気づいたことをつらつらと書いていこうと思います。

勉強法の紹介ではないですが、なぜ私が勉強法を発信しようとしたかに触れられたらと思います。

 

参考図書及び資料

  • リクルートワークス研究所 どうすれば人は学ぶのか「社会人の学びを解析する」
  • 文化庁 平成30年度「国語に関する世論調査」の結果について

 

なぜ日本の社会人は勉強しないのか 学校教育や教育システムからの考察

社会人になると勉強をしなくなることはデータで証明されています。

リクルートワークス研究所の2018年の調査によると、社会人の33.1%が仕事にかかわる知識や技術向上の取り組みをした(例えば本を読む、詳しい人に話を聞く、自分で勉強をする、講義を受講するなど)と解答しました。

残りのおよそ7割の人は仕事の知識や技術向上に対して何の取り組みをしていないということです。

その他にも文化庁の調査(平成30年度)では「1 か月に大体何冊くらい本を読むか」という質問に、47.3%の人が「1か月に1冊も本を読まない」と回答しています。

なぜ社会人になると勉強しなくなるのでしょうか?

学びの習慣の有無との相関

リクルートワークス研究所は2018年に、学生時代から日常的に学習習慣ができているか調査しています。その結果は次のとおりです。

  1. 授業やテストの対策のみならずふだんから関心を持った事柄について自らも調べものをするなど習慣的に学習していた・・12.6%
  2. 授業やテスト対策のために日常的に学習していた・・18.3%
  3. 授業やテスト対策のために直前のみ学習していた・・40.8%
  4. 学習していない・・28.4%

①と②は習慣的、日常的に勉強しています。①、②を足すと30%くらいなので社会人になっても勉強している人との相関がありそうという事が予想できます。

 

①~④をみて大抵の人は①が理想であると考えると思います。

①の人は学校教育や受験システムという与えられた枠組みではなく、自らの学びたいものを発見し主体的に学ぶことができているからです。

②の人も日常的に学習しています。①の人との違いは与えられた枠組み内で(受験制度を含みます)目標を設定し達成するために学習しています。  

③の人はなぜ習慣的に勉強をしないのでしょうか

 

学校教育は受け身で問題無しの現状

学校教育というのはどうしても受動的になります。

文部科学省が決めた学習範囲を各地域の教育委員会がアレンジして学校の教師が生徒全員に一斉に教える形式です。

学習する教材や範囲も与えられているので自ら目標を設定したり工夫して学ぶ必要はありません。

受験についても、自分の学力にあった学校というのは必ずあるので、自ら進んで目標を設定しなくてもいくつかの選択肢の中から行ける学校を選ぶ事ができます。

とくに自分で目標を立てなくても何とかなってしまうのが学校と受験のシステムなのです。

つまり③の人は直前だけの勉強でも選択肢も複数あるし、うまくいってしまうから日常的に勉強しなくても良いと思ってしまうのです。

 

分析や目標の設定の仕方を教える人がいない&軽視している

③(直前のみ学習していた)の人は大きな目標、困難な目標を設定したことがない人がほとんどでしょう。

与えられたものをこなすことが勉強だと勘違いしてしまっていると思います。

なぜなら学校の先生がテストなどで目標を与えてくれるし、進路についても困難な目標を設定しなくても他に選択肢があるからです。

例えば自分の学力よりも高い学校に行こうとしても、今の自分の学力では無理だと思えば、自分のレベルにあった学力の学校を選択すれば良いですし、周りの人もそれを勧めてくれます。

しかし、大きな目標、一見難しそうと思える目標というのは、目標を良く分析して、細分化することで実現できる可能性が見えてきます。

その経験がなければ、大きい目標を目の前にして諦めてしまいます。

とは言え、このような分析や目標設定を教える人がいません。

学校の先生は授業で忙しいですし、塾の場合はニーズが無いのでやりません。(全体のシステムとしてです。個別に見ていけば指導してくれる先生もいますし、塾もあります。)

(分析や目標設定についての指導にニーズがないのも問題だと思いますので別の記事で書こうと思います。)

このような仕組みの中で社会人になってしえば、仕事も与えられる事が当たり前、与えられた仕事をこなせば良いという人になってしまうでしょう。

 

大きな目標を設定した経験の無い人は選択肢が少ない

大きな目標を設定した事がない人が、他の人が大きな成果を挙げているのを見たときに次のような理由をつけたりします。

  • あの人は頭が良いから(学歴がいいから)
  • あの人はできる人だから
  • 生まれ持ったものが違うから
  • 運が良かっただけだ
  • 特別なコネクションがあったんだろう

目標が大きすぎて自分には関係ないと思ってしまい、そこで思考が停止します。

何の行動も起こさず、いつもと同じように過ごしていくでしょう。

しかし大きな目標を設定した事がある人は、どうやって成果を挙げたのだろう?と考えます。

大きな目標だとしても細分化して一つ一つのことを積み重ねれば達成できる事を経験しているからです。(仮に達成できず失敗したとしても実現できる可能性があると思えるはずです)

  • どのように細分化したのだろう?
  • 期限によく間に合ったな
  • 自分の持っているスキルでできるのかな?

もし同じ成果を挙げたいなら『スキルを勉強することから始めよう!』というように自分でも大きな目標を細分化して達成に向けてチャレンジする事ができます。

思考停止する人はその選択肢すら出てきません。

 

勉強しない社会人は人生を豊かにする選択肢を持てない

つまり冒頭の『社会人の33.1%が仕事にかかわる知識や技術向上の取り組みをした』という人たちは、何らかの大きな目標を達成したい、その選択肢が見えている人なのではないでしょうか?

ここでの仕事の意味は会社の仕事だけでなく、副業などでお金を稼ぐことなどを含んだ幅広く自分の人生を豊かにすることでしょう。

つまりより良い生活、自分の望む生活に向けて選択肢がいくつか見えていて、それを達成するために勉強という手段から始めていると思います。

残りの7割の社会人は、選択肢がそもそも見えないため、豊かに過ごしている人を見ても、自分とは違うからと思ってしまっているでしょう。

今の教育システムで軽視されている目標設定の経験が、大人になってから選択肢を広げ人生を豊かにするものであると私は思います。

受験や進路では選択肢が豊富にあるように見えますが、それは国が用意してくれた選択肢であることも理解しておきたいところです。

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