- ほめ方しかり方で何に気をつければいいんだろう?
- 思春期の子は難しいからなにか指針があるといいな。
この記事を読んでわかること
『学ぶことで成長することが大事』という考え方に育てるためのほめ方がわかります。
ブログを書いている人はこんな人
私は塾を経営していて、心理学的に成果の出ている方法で指導をするようになってから、生徒の合格実績が向上しました。
開業2年目以降は9割の生徒が第1志望を合格しています。
この記事ではその中のマインドセットについて共有させていただきます。
参考図書
キャロル・S・ドゥエック著 今西康子訳『マインドセット やればできるの研究』
■結論
ほめることは子どもに対するメッセージです。親からのメッセージをどう受け取るかで子どもの考え方が左右されてしまいます。
- 自分の能力は生まれたときから変わらない
- 自分の能力は努力次第で伸ばすことができる
メッセージの伝え方次第でどのような考え方になるか影響があります。
2つの考え方(マインドセット)とほめるときの注意点を解説していきます。
2つのマインドセットとは
- 途中でつまづいてもあきらめずに挑戦する
- 失敗したら何かのせいにしてあきらめる
これらはその人の性格ではなく、マインドセット(心のあり方)が大きなウエイトを締めています。
それは生まれ持ったものではなく、子供の頃からの積み重ねによって作り上げられ、その人の信念となります。
そして信念がその後の人生を大きく左右することになります。
ほめ方によってマインドセットが影響を受ける
子供の頃からの積み重ねで大きな役割を果たすのが、
『褒める』です。
ただ褒めればよいわけではなく、厳しくしかればよいというわけでもありません。
- 硬直マインドセット・・・自分の能力は固定的で変わらない
- しなやかマインドセット・・・基本的資質は努力次第で伸ばすことができる
という2つのマインドセットに褒めるがどのように影響を与えるかを解説していきます。
結論から言うと、
結果よりも工夫したり努力したことに注目してほめてあげることで
しなやかマインドセットになるように導いてあげることをお勧めします。
硬直マインドセットとは
自分の能力は
- 固定的
- 変わらない
と思っているので、自分の能力を証明し続ける必要があると思ってしまいます。
- 失敗せずにうまくできるだろうか
- 賢そうに見えるだろうか
- 馬鹿と思われていないか
- 認めてもらえるだろうか
- 突っぱねられやしないか
これらのことが判断基準になります。
もう少し深く考えると
他者が自分と同じようなスピードで成長していれば、自分の能力が変わっているように見えません。そのため固定的であると考えてしまいます。
判断基準についても、無意識のうちに行動の決定に影響を与えています。
例えば勉強を頑張ることを避けてしまっている場合は
- 頑張っても結果が出なかったら
- 頑張っても失敗してしまったら
- 頑張っても賢そうに見えなかったら
- 頑張っても褒めてもらえなかったら
ということを無意識で判断してしまっていることが多いです。
- 他の人と比べたり、
- 他の人からどう思われているか
に比重がかたよってしまうと、硬直マインドセットになってしまいがちです。
人は社会的な生き物ですから、いろいろなものを比べたり比べられたりします。
その時にどう受け止めるかがマインドセットでは重要なポイントになります。
しなやかマインドセットとは
基本的資質は努力次第で伸ばすことができると信じています。
そのためうまくいかないときも粘り強く頑張ることができます。
いやな結果が出たとしても
- もっと頑張らないと
- もっとしっかりしないと
- まだ伸びるチャンスはある
というように受け止め、次の行動に移すことができます。
しなやかマインドセットの人の特徴は、過去の自分と比べているということです。
過去の自分と比べてみて
- 成長しているのか
- 変わらないのか
成長していたら喜び、変わらなかったら失敗と考え、成長するための行動をおこします。
人は2つのマインドセットをあわせもっています
本書によると分野ごとに使い分けているとあります。
- 勉強は頑張れば頑張った分だけ成長できる
- 美術や運動はセンスだ
のような考え方です。
もう少し深く考えると
- 時代や年齢
- 環境
- 周りの人の影響
- 自身の成功体験
など様々な要因によってこの2つのマインドセットのどちらかに傾きます。
大人になってからでも変わる可能性があるとはいえ、子供のころに培ったものがその後の人生に大きな影響を与えます。
ですからマインドセットを意識した声掛けをしていくことが大事です。
ほめるポイント
しなやかマインドセットになってもらうためには、ほめる基準を
×他者との比較
×結果
〇過去の自分
過去よりも成長できているかを意識しましょう。
学校の定期テストの平均点のとらえ方
入塾前の面談で聞くのは、『平均点くらいは取ってほしい』という声です。
マインドセットの観点から考えると学校のテストの平均点は害しかありません。
とくに平均点よりも低い生徒は頑張りを否定する材料にしかなりません。
あくまでも過去の自分と比べることが大事です。
前回のテストの反省から
- 何を頑張ったのか
- 頑張った結果どうだったのか
をよく話し合いましょう。
余談ですが、模擬試験のように
- 範囲があらかじめ決められていて公にアナウンスされている
- 難易度も大きく変わらない
- 10000人以上受けている
このような条件なら、平均点からどのくらい離れているか位置を知るのに役立ちます。
あくまでも位置を知るためであってほめたり叱ったりする材料にしないようにしましょう。
努力と成長をほめる
- テストの点数
- 部活の試合結果
- 絵画コンクールの賞
- ピアノの発表会の賞
のような結果について褒めたり叱ったりするのは硬直マインドセットに偏ります。
1)「そんなにはやく覚えられたなんて、あなたはほんとに頭がいいのね!」
⇒はやく覚えられなければ、頭がよくないんだ。
2)「すごい点数を取ってきたな。あの子は将来、博士か大臣になるぞ」
⇒いい点数を取ってこないと、博士や大臣になるとは思ってもらえないんだ。
子どもはいくつになっても『ほめられたい』と思っています。
ほめる叱るにかかわらず親の言葉は子どもに大きなメッセージとして伝わるということです。
ほめるときは努力と成長に注目したメッセージを送るようにしましょう。
1)一生懸命に宿題をやってたな。集中して終わらせることができてえらいぞ
2)この絵、きれいな色をたくさん使って描いたのね。色の使い方のことを教えてくれるかな?
3)この作文には自分の考えがたくさん書いてあるね。あなたの意見がよくわかるいい作文だね。
ほめるときは、
- 頭を使って工夫
- 努力した
結果よりも過程に注目して成しとげたことをほめると良いです。
結果をほめると悪いという研究結果
アメリカのコロンビア大学での研究結果です。
難しい問題に答えさせ、それが正解か否かを知らせて、どのようなときに興味や注意が喚起されたことを示す脳波が現れるかを調べた。
キャロル・S・ドゥエック著 今西康子訳『マインドセット やればできるの研究』より
硬直マインドセットの人たちの関心が高まるのは、「あなたは正解です」と言われたときだった。
答えが正解か否かを告げられる瞬間に最大の注意が払われることが、脳波から明らかになった。
一方で、学習に役立つ情報が提示されても興味を示す気配はみられなかった。
答えが間違っていたときでさえ、正しい答えを知ることに興味を示さなかったのである。
結果だけをほめてしまうと、硬直マインドセットに傾いてしまい、自分を成長させるための情報について注意を払わなくなってしまうのです。
失敗したときのなぐさめ方
慰める例が本書にあります。
気持ちはわかるよ。入賞目指して思いっきり演技したのに駄目だったんだからそりゃ悔しいよな。でもお前にはまだそれだけの力が無かったんだ。あそこにはお前よりも長く体操をやってる子やもっと懸命に頑張ってきた子が大勢いたんだ。本気で勝ちたいと思うならそれに向かって本気で努力しなくちゃな。
キャロル・S・ドゥエック著 今西康子訳『マインドセット やればできるの研究』より
- 本当のことを告げ、現実に向き合わせます。
- 失敗から何を学ぶべきかを伝えます。
- 将来成功を勝ち取るには何をしなくてはいけないのかを伝えます。
硬直マインドセットは人の目を気にします。そのため
- 評価されると感じさせない
- 応援してもらっていると感じさせる
のように子供の目が自分自身に向くように話してあげると良いです。
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