経理ってどんな仕事なの?
経理や総務などのバックオフィス系の仕事は人気があるので、仕事内容を検索すると日時業務、月次業務などスケジュールごとにどんな仕事があるか紹介するページがたくさんあります。
ですのでこの記事では仕事内容は軽く触れますが、仕事に必要なマインドや能力について解説していきいます。
私は30代で未経験から経理に転職して7年間、経理を経験しました。中小企業で現金管理から始まり、会社の資金調達、吸収合併や不正経理後の立て直しなど幅広く経験しました。そんな経理の経験から解説します。
経理の仕事内容
狭義の経理の仕事内容は、お金の『入り』と『出』を管理することです。
売り上げは現金や預金口座の残高が増加します。給与や仕入れ先への支払いは現金や預金口座の残高が減少します。
これらの増減を管理し、なぜ増減したのか真実を明確にして帳簿につけます。
現金管理や預金管理と言われるものです。
1年間帳簿をつけたものを損益計算書や貸借対照表と言われる会計書類にまとめます。決算というものです。(上場企業は4半期ごとに行いますが、私は非上場企業しか経験していないので非上場企業の経験から解説します)
でも中小企業の経理は入出金を管理するだけではないです。
バックオフィス業務
例えば、売り上げ処理なら営業事務がいる会社といない会社で変わります。
- 営業事務が請求書を作成して取引先に送付する。経理は入金を確認し営業事務に連絡する
- 営業の人が請求書データを作って、経理が印刷して取引先に郵送する。入金確認後、営業に連絡する
給料なら総務が計算するか経理が計算するかで変わります
- 総務が給料データを伝送する。経理は給料総額を確認後、振込み承認を行う。
- 経理が給与計算から振込み処理まで行う。
こういった入出金の先にある事務は、経理が行うか、それとも他の部門が行うか、会社のルールによって変わってきます。
例えば経理業務として一般には思い浮かばないもので私が経験したものを上げていくと
給与計算、特別徴収などの給与に関する税の手続き、固定資産管理、契約書の作成と管理などは総務の仕事と言われるものですがやっていました。
他にも売上債権の管理(督促や債権回収会社との折衝)、重度のクレームに関する争い(裁判など)も担当したことがあります。
お金の入出金に付随する業務に付随する業務まで行う場合があります。
業務内容、会社の人員によって業務の内容は大きく変わります。
経理の仕事に求められるマインド
完璧主義のマインドが必要です。
MBO、OKRといった人材管理手法の記事で、硬直マインドセットや減点主義は、『人の目を気にする』から良くないということを解説しましたが、バックオフィス業務に関しては『人の目を気にする』完璧主義のほうが良い仕事につながります。
関連記事:MBO(目標管理)がうまくいかない理由を教育面から解説する
関連記事:OKRとは~ OKRとは何か、OKRに必要なマインドについて解説
完璧主義のひとが、完璧に仕事をこなしたい動機の一つに『他者の目を気にする』点があげられます。
この他者を誰に置くかが大事になってきます。
未来の人の目を気にする
会計に関する書類は税法で7年、会社法で10年のように長期にわたって保存する必要があります。
会計書類は経理の仕事の成果物です。自分の仕事ぶりが7~10年データや書類で残ります。経理上、何か問題があれば、さかのぼってすぐに調べることができます。そのときに間違いを指摘されても良いように、法律やルールに基づいた処理をすることが必要です。
つまり税理士や公認会計士、税務署、後輩の社員など、『未来のだれかにみられても恥ずかしくない仕事をする』という動機で完ぺきにこなしていく必要があります。
毎日完璧な処理をコツコツ積み重ねていくには強い動機が必要です。保身というのは強い動機の源になります。
社長や上司の目を気にするのは❌
保身が強い動機を生むと言っても、社長や上司の目を気にしてしまうのは良くないです。
私の好きなyoutubeチャンネルである『カカチャンネル』さんでは、たくさんの『しくじり企業』が紹介されています。
売り上げを水増しして黒字になっているように見せかけたり、横領したりして会社が倒産していく様子が詳しく解説されています。
本来は実際に起こった事実(真実)を会計処理しなくてはならないのに、社長や上司に言われて、ちょっと解釈を変えて数字をいじってしまい、その積み重ねで倒産している例はたくさんあります。
事実というのは解釈の仕方でどのようにでもとらえることができます。
決め台詞で
と言いますが、会計では、真実は解釈の仕方で何通りかあるようにできています。
仮に社長や上司に数字をなんとかして欲しいと言われても、法律やルール、慣習から相対的に正しいと思われる処理をしていくことが必要です。
社長に必要とされる経理
社長や営業部門の人たちは加点主義です。
満点を設定せず、自分にできることをとにかく頑張り、その積み重ねによって会社の売り上げが上がり、会社は発展します。100点どころか1000点、10000点の結果を求めて日々努力しているのです。
そういった加点主義の人たちだけだと、ときには法律やルール、慣習といった枠組からはみ出してしまうことがあります。
完璧主義の人は満点を設定します。その枠内で満点を目指して努力する人です。満点という『枠』を設定する力があるとも言えます。
法律やルール、慣習といった『枠』を設定して、社長や営業部門の人たちが、はみ出してしまわないようにブレーキ役、コントロール役になることも期待されます。
このような正しい完璧主義を持った経理が重宝されます。
経理に必要な能力
簿記の知識は当然としてその他にも必要な能力があります。これらの能力が高ければ簿記の知識は3級程度で十分です。
簿記の知識よりも、どう処理するかの判断が大事になってきます。判断の根拠は法律やルール、慣習などです。自分勝手に判断しないことが大事です。
疑問に思う力
経理には日々、数字とその理由が上がってきます。
例えば、コピー代に使いましたといってコンビニの領収書がきます。
領収書の金額は数字、コピー代が理由です。
真実は解釈の仕方で複数あるということを前の章で書きましたが、言われたことをうのみにせず、領収書(証憑)が正しいものか、理由が正しいものかをチェックする必要があります。
私が経理を始めた頃に教わった言葉は、
『人柄は信用しても、仕事は信用するな』という言葉です。
私が経理の仕事を続けていくにつれ、会社の同僚という親しい間柄でも疑問に思う力が必要ということを端的に表していると実感した言葉でした。
すぐにググる力
疑問に思ったらすぐにググりましょう。
自分で勝手に解釈をするのではなく、ググって根拠となる法律や慣習を調べます。
会計なら『〇〇 仕分け』『〇〇 勘定科目』『〇〇 書き方』『〇〇 いつまで』は良く使う検索ワードです。
いろいろな解説ページが出てきますが、国税庁などの官公庁のページから引用していれば妥当性の高いことがわかります。
それ以外のあいまいな情報に関しては次の『法律の背景から考える力』を使って自分なりの解釈をしていく必要があります。
法律の背景から考える力
ググってもわからないときや、何が正しいか悩むときがあります。
何回も言うように、真実は解釈の仕方で違ってきます。
そのときに妥当性のある解釈をするには、法律そのものの背景を考え、なぜその決まりがあるのかを考えることが必要です。
一人で判断できないものは弁護士や会計士などの専門家に問い合わせることも必要になってきます。
問い合わせる際も仮説を持って問い合わせます。
対応力
対応力は次の2つに分けて解説します。
- 折衝面での対応力
- 仕事の幅を広げる対応力
折衝面での対応力
会社のお金が動くということはそれにともなって人も動きます。
売り上げなら営業部門、経費精算は社長を含む会社の各部門に対応する必要があります。
仕事の幅が広がると弁護士や会計士などの外部の専門家との橋渡しも行うようになります。
加点主義と完璧主義の違いは解説しましたが、相手と自分のポジションを認識して、相手の立場も尊重し譲るところは譲り、譲れない部分は譲らない明確な線引きを持って対応する必要があります。
その線引きは『疑問に思う力』と『ググる力』『法律の背景から考える力』でつちかった知識がベースになります。
忖度は長期的に見ると社内での信用を失います。なぜなら、線引きのベースになる知識がないと思われるからです。
仕事の幅を広げる対応力
経理に必要なのは完璧主義のマインドと解説しましたが、完璧主義の人は満点と言う『枠』を作ってしまいます。
業務ではそういった『枠』が必要とされますが、自分の仕事の幅にも『枠』を作ってしまうのは良くないです。
会社の組織というのは生き物のように常に変化します。例えば退職者が出たり、会社が新しいチャレンジをしようとしたりするときに、自分の範囲外の仕事が急に舞い込んできたりします。
とか
そのときに自分が勝手に設定した『枠』に閉じこもっていると、急にふられた仕事が完璧にできず、ストレスが溜まるようになってしまいます。
いつ仕事の幅が広がってもいいように、自分の『枠』を広げるための情報収集や勉強をしておくことが重要です。
まとめ
経理の必要なマインドや能力を解説しました。
法律やルールなどの枠組みがあるだけに完璧な仕事を求められます。
そのため完璧主義のマインドが必要になってきますが、処理業務のみ完璧主義のマインドを持ったほうが良いです。仕事の幅に関しては完璧主義のマインドの悪い面を出さないように使い分けることが重要です。