モチベーションというのは日本語にすると『動機』や『動機づけ』と呼ばれます。
実際に勉強を始めるときの力です。
『やる気』と混同されがちですが、『やる気』は始めたことを続けるために必要な力です。
まずモチベーションを高めて『勉強を始める』という行動をすることで『やる気』がわいてくるのです。
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この記事では勉強に取り掛かる力『モチベーション』の中の一つ達成動機について解説します。
達成動機が低いと失敗を回避する行動を取るようになってしまい、成長できなくなります。
達成動機を低くしないための方法についても解説します。
達成動機とは
達成動機とは難しいことを成し遂げようとして行動することです。
障害があっても、それを克服してより高い水準に達するために行動します。その結果、自分の能力をうまく使えるという自尊心や『自分ならできる』という自己効力感が高まります。
社会的、文化的に価値があるとされたものを達成するという意味でも使われますが、他人の基準ではなく自己の基準で価値があると思うものに向かって行動することが望ましいです。
達成動機の例
達成動機の例でよく挙げられるのが登山家への問いかけです。
『なぜ山に登るの?』
『そこに山があるからさ』
山に登ることは安全安心ではないのに、山登りという困難なことに挑戦したくなって登山に出かけてしまう心情を表しています。
アトキンソンによる達成動機の公式
心理学者のJ・W・アトキンソンは達成動機の強さを「動機」「期待」「誘因」の三つを使い公式で表しました。
達成動機の強さ= 達成したいという動機 × 自分が考える成功の確率×目標の魅力
この公式の『自分が考える成功の確率』がその人の行動を変えていきます。
達成動機が高い人
達成動機が高い人は『自分が考える成功の確率』が50%程度のときが一番モチベーションが高まるとされています。
そのため、努力次第で到達できそうな目標を立ててそれを実行しようとします。
頑張らないと成功しないと思って始めるので、自分なりに工夫したり努力を継続したりして何とか達成しようとします。
そのため達成動機の高い人は目標を達成するたびに自分の成長を感じることができます。
自分の成長を感じることで自尊心や自己効力感が高まっていきます。
自己効力感とは『自分ならできる』という確信のことです。モチベーション、やる気に深くかかわるものなので
『自分ならできる』と思えるようになる5つの方法の記事も読んでみてください。
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達成動機が低い人
達成動機が低い人は『自分が考える成功の確率』が50%程度のときが一番モチベーションが低いとされています。
そのため、極端に成功の確率が低い目標や、成功の確率が高い目標を立ててそれを実行しようとします。
成功の確率が低い目標の時は初めから諦めぎみですし、成功の確率が高いものはできて当然と思っているので自分が成し遂げたという達成感を味わうことができません。
達成動機が低い人は失敗を回避する行動をとります。これを失敗回避動機といいます。
この達成動機の高い人と失敗回避動機の人の違いは、失敗したときの原因の考え方によります。
達成動機と原因帰属理論
達成動機と失敗回避動機の違いは、失敗の原因のとらえ方で出てきます。
達成動機が高い人が失敗したときは自分の努力不足だと考えます。
失敗回避動機の人は失敗の原因を自分の能力がないからと考えます。
失敗回避動機の人は自分の能力が低いと思いたくないため、次のような目標を立てます。
- (失敗して当然の)成功確率が低い目標
- 極端に成功確率が高い簡単な目標
失敗の原因の考え方で『原因帰属理論』というものがあります。
自分のコントロールできないものを失敗の原因と考えてしまうと、やる気が出なくなるという理論です。
原因帰属理論では『能力』を『自分ではコントロールできないもの』としています。
『勉強のやる気が出なくなるNGな言葉【原因帰属理論から解説】』という記事で勉強で失敗したときを例にして解説しています。
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達成動機が低くなってしまう3つの理由
達成動機が低くなってしまう理由は3つあります。
- 人の評価を気にする
- 能力が固定だと思っている
- 完璧主義
人の評価を気にする
失敗することを恐れるのは、自分の能力を低いと思いたくない自己防衛と、自分の能力が低いと他人に思われたくないという気持ちがあるからです。
人は社会的な生き物なので、他人に軽んじられることを避けるのは普通なのですが、失敗回避の人はそれが極端になってしまっています。
能力が固定だと思っている
達成動機の高い人は50%くらいの成功確率のときにモチベーションが高まります。これは自分の努力と工夫で何とかなると考えるからです。
しかし失敗回避動機で動く人は、能力は生まれつきのもので、『できること』『できないこと』は決まっていると思ってしまっています。
そのためできるとわかっていること(成功確率が100%に近いもの)ほどモチベーションが上がります。
完璧主義
達成動機の高い人は、もともと成功確率が50%ぐらいと思っているので失敗したら、ほかの方法で試してみようという考えのもと取り掛かることができます。
しかし、失敗回避動機の人は、失敗は許されず、はじめから完璧な成果を目指します。
少しでも完璧に仕上がりそうにないと感じたら、行動することをやめてしまいます。
そのため先延ばしすることも多くなります。
先延ばしは癖になってしまうと大変です。
先延ばしについて解説していますので読んでみてください。
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達成動機を高める方法
達成動機を高める方法は達成動機を低くしている原因を一つずつ無くしていくことです。
達成動機を高めるには次の3つをやっていきましょう。
- 自分が大事だと思えることを作る
- 昨日の自分と比べる
- 減点主義から加点主義に変わる口癖
自分が大事だと思えることを作る
他人の評価が気になる人は、自分軸の評価がありません。
自分が大事だと思える『価値観』を作ることが大切です。
例えば、学校のテストだと平均点というものがありますよね。
あれは何の役に立つの?と考えられるでしょうか。
平均点は自分には関係のないことです。自分が何をしようが平均点はほぼ変わらないですよね。
それよりも自分がどのくらいの点数をとりたいか決めましょう。
とりたい点数に向かって工夫や努力をしていくようにします。
『とりたい点数を決める』ことから始めてみましょう。
テスト以外でもぶれない自分の『価値観』を持つことは大切です。
個人のビジョンの作り方を解説した記事を参考に『価値観』についても考えてみてください。
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昨日の自分と比べる
能力が固定的だと思ってしまう原因として、学校があります。
学校はみんなが通ってみんなで頑張りますよね。本来は学校の授業を聞いて勉強をすれば自分の知っていることは増えているはずです。
しかし、学校では他の生徒も同じように授業を聞いて勉強をして同じように知っていることを増やしていくので、他の人と比べてしまうと自分が成長していることを実感できないようになっています。
比べるのは昨日の自分です。昨日の自分と比べれば新しいことを教わったら成長していますよね。
成長したことを実感しないと、いつまでも能力は固定的でやれること、やれないことは能力で決まるという考えになってしまいます。
成長を実感するには振り返りをすることが1番の近道です。
振り返りについてはまとめ記事を書いてあるので読んで実践してみてください。
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いますぐ振り返りをしたいという人は、一番わかりやすい振り返り方法のYWT法で振り返りをしてみましょう。
やっとテストが終わった 当分勉強のこと考えなくていいね! ちょっとまった!テスト勉強の振り返りをしておこう 振り返りをするまでが勉強だよ テストや受験勉強が終わって振り返りをする人と、振り返[…]
減点主義をやめ加点主義に変わる口癖
『〇〇すべき』『■■しないといけない』これが口癖になっていたら完璧主義の傾向があります。
『すべき』『しないといけない』と考えてしまうと、頑張って達成しても『できて当然』という実感しか得られません。
ですから次のような口癖を意識的に行うようにしてください。
『〇〇することができた』『■■からやってみよう』
『できた』というと、自分の行動に焦点が当たるので自分がやり遂げた実感を得ることができます。
完璧主義の人は完璧を目指すあまり、準備を入念に行います。それ自体は悪いことではないのですが、とりあえず始めることには向いていません。
『やってみよう』はチャレンジする意味合いも含まれています。チャレンジするという意識で行動を始めれば、工夫をする余地が生まれます。『工夫をしながらゴールに向かう』これができれば完璧主義を直すことができます。
自分の思考を直すのは意志の力ではできません。口癖などの細かい行動を変えることで思考は変えていくことができます。
まとめ
始めなければやる気は起きません。始めるためにはモチベーションが必要です。
モチベーションの一つに達成動機があります。
達成動機は難しいことを成し遂げようという気持ちです。
達成動機が高い人はチャレンジして成長することができます。
達成動機が低い人は簡単なことや極端に難しいことをするため成長することができません。
達成動機が低い理由は次の3つです。
- 人の評価を気にする
- 能力が固定だと思っている
- 完璧主義
達成動機を高めるには次の3つをやっていきましょう。
- 自分が大事だと思えることを作る
- 昨日の自分と比べる
- 減点主義から加点主義に変わる口癖