この記事を読んでわかること
『やる気』を出すための方法として『内発的動機づけ』と『外発的動機づけ』がわかります。
やる気は勉強を始めてから湧きおこるものです。
勉強を始めるために外発的動機づけ(ご褒美など)を使いましょう。
『やる気』が出た状態でご褒美を上げてしまうと『やる気』がなくなってしまいます。
ブログを書いている人はこんな人
私は塾を経営しています。
保護者の方と話していて『子供に勉強を頑張ってほしい』という声は多いです。
『やる気を出させてほしい』という声もあるのですが、やる気は自分の内側からおこってくるものです。
短い時間だと伝えきれない部分があるのでブログ記事にて共有します。
■結論
やる気は実際に行動しないと出てきません。
『行動するにはどうすれば良いか?』を考えることが第一歩です。
『外発的動機づけ』と言われるもので、義務、ご褒美、強制によって行動させます。
外発的動機づけによって行動していると、自分の行動を正当化するために自分なりに勉強する理由を作ります。これが『やる気』=『内発的動機づけ』です。
『やる気』がある状態でご褒美や罰を与えるとマイナスに働きます。
勉強嫌いな生徒がやる気になるまでの過程を心理面から解説
家にいると勉強しないので追い出されてしまったようです。
でも塾に来ると勉強するしかないので、勉強を始めました。
これは『外発的動機づけ』といわれます。
外発的動機づけ
外発的動機づけとは義務、賞罰、強制などによってもたらされる動機づけである。
強制された外発的動機づけが最も自発性が低い典型的な外発的動機づけである
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』動機づけ より
塾へ行きなさいは『外発的動機づけ』
外発的動機づけは自分でも家族でも、他人でも誰でもできることが特徴です。
- 自分:勉強を頑張ったから自分へのご褒美 (賞罰)
- 親:塾へ行きなさい (強制)
- 先生:宿題を期限まで提出すること (義務)
外発的動機づけの目的は、動き出すことです。
動かなければやる気も出てきません。
外発的動機づけは『動くための理由づくり』とも言えます。
『塾へ行きなさい』が『やる気』に変わる
『外発的動機づけ』に対して、『内発的動機づけ』というものがあります。
内発的動機づけ
内発的動機づけとは好奇心や関心によってもたらされる動機づけであり、賞罰に依存しない行動である。
一般的に内発的動機づけに基づいた行動、例えば学習は極めて効率的な学習を行い、しかも継続的に行うことができる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』動機づけ より
よく言われている『やる気』というのはこの『内発的動機づけ』を指します。
好奇心や関心によって『やる気』になることです。
- 野球が好きだからプロ野球選手になるためにたくさん練習する
- 漫画で日本の歴史に興味がでてきたから歴史のテストは頑張る
好きや興味があることは自然と行動に移しますよね。
勉強が嫌いな子でもやる気になる
- 勉強が嫌い
- 勉強に関心がない
このような子でもやる気になります。
勉強を続けると勉強する理由をつけて正当化する
人の行動は、意志または感情にすべて支配されているわけではありません。
行動によって、感情が変わることもあります。
やりたくない勉強を繰り返し行っていると、自分の行動と気持ちがアンバランスになり不快感を感じます。
その不快感から自己防衛するために行動か気持ちのどちらかを無意識のうちに変えるようになります。
つまり
- 勉強をしたくない気持ち
- 勉強をしている自分
のどちらかを解消しようとします。
認知的不協和(にんちてきふきょうわ、英: cognitive dissonance)とは、人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。人はこれを解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』認知的不協和 より
『勉強したくない』という気持ちが変わるときの心理
『認知的不協和』によって自分の行動を正当化するか、自分の気持ちに従うかは『一貫性の原理』が働くかどうかによります。
人は社会性のある動物であり、他者からの評価が低いと生き残れなかった歴史があります。それは現在も『一貫性の原理』という心理にあらわれます。
『一貫性の原理』とは他者から高い評価を得るために、自分の行動、発言、態度、信念を一致させようとする心理のことです。
次の点から自分の気持ちを変えるようになります。
- 塾で勉強しているという行動をしている
- 他の人は自分が塾で勉強していることを知っている
- 他の人は自分の本当の気持ちを知らない
知られていない部分を変えてしまえば、一貫性は保たれるという心理が働きます。
人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理が働く。この心理を「一貫性の原理」と呼ぶ。この心理の根底には、一貫性を保つことは社会生活において他者から高い評価を受けるという考え、複雑な要因の絡み合った社会生活での将来的な行動決定においてより簡易に行動を決定することができるなどの要因があるといわれる
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』一貫性の原理 より
『一貫性の原理』が働く人と働かない人
自分の信念や態度を変えるかどうかは、人からどう見られているか意識する『セルフモニタリング』能力によって変わってきます。
人からどう見られているか=自分を客観的に見る(メタ認知)
自分を客観的に見る行為は、脳の前頭前野という場所で行われます。
前頭前野は8歳から15歳にかけて体積が急激に成長することがMRIのデータからわかっています。
そのため小学校低学年(成長スピードによっては高学年)では自分を客観視できずに自分の気持ちを優先してしまう可能性が高いです。
勉強が嫌いな場合でも、嫌いという感情が和らぐ
仮に勉強が嫌いでも、勉強の頻度を上げることで嫌いという感情が和らぎます。
『単純接触効果』といって、まったく関心がない、嫌いでも繰り返し接触すると印象が良くなり、好感度が高くなることがわかっています。
私の経験上の感覚ですが、週4日以上塾に授業や自習に来ている(来させられていた)生徒は、すこしずつ自分の課題を自分で発見して取り組むくらい勉強に興味関心を持つようになっていきます。
単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか、英: mere exposure effect)は、(閾下であっても)繰り返し接すると好意度や印象が高まるという効果。1968年、アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが論文 Zajonc (1968) にまとめ、知られるようになった。
初めのうちは興味がなかったり、苦手だったりしたものも、何度も見たり、聞いたりすると、次第によい感情が起こるようになってくる、という効果。たとえば、よく会う人や、何度も聞いている音楽は、好きになっていく。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』単純接触効果 より
『やる気』がなくなってしまうアンダーマイニング効果
アンダーマイニング効果(アンダーマイニングこうか、英: undermining effect)またはアンダーマイニング現象(アンダーマイニングげんしょう、英: undermining phenomenon)は、内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーション(やる気)が低減する現象である。例えば、好きでプレイしていたゲームに金銭的な報酬を与えられると、やる気がなくなってしまうなど。抑制効果ともいう。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』アンダーマイニング効果 より
- ご褒美
- 義務
- 強制
このような『外発的動機づけ』で勉強を始めて、続けていくうちに自分の中で勉強する理由を見つけ『やる気』が出ます。
この『やる気』の状態ですが、じつはなぜこんなにも『やる気』になっているか本人も明確には分かっていないのです。
そのため『外発的動機づけ』(ご褒美を買ってあげるなど)をしてしまうと、
いままで自分が勉強を頑張っていたのは『外発的動機づけ』によるものだと錯覚してしまいます。
この錯覚をしてしまうと、以前の内発的動機づけレベルの『やる気』に戻らなくなってしまうので注意が必要です。
これをアンダーマイニング効果と言います。
しかし、このアンダーマイニング効果は金銭や物的報酬に対して強く働くようで、褒めること(言語的報酬)については『やる気』を失わないという報告もあるようです。
ですから、本人が勉強を頑張っていても、ご褒美を買ってあげるのは厳禁です。
そのかわり、努力や工夫についてほめてあげてください。
ほめ方についてはマインドセットにかかわってきますので、次の記事を読んで成長志向の考え方になるように褒めてあげてください。
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