You Tubeを更新しました。
You Tubeでは語れなかった、意見の発展についてブログで補足します。
【ゆっくり解説】万物の根源とは?ミレトス学派の発展【倫理】
動画内では古代ギリシアの哲学者、アナクシマンドロスとアナクシメネスを解説しました。
この2人は最初の哲学者タレスから教えを受けてミレトス学派というグループを形成します。
ミレトス学派は万物の根源とは何か?を探求する集団です。
- アナクシマンドロスはアペイロン
- アナクシメネスは空気
というように結論がそれぞれ異なりました。
倫理の授業などではこれを暗記しておけば点数が取れますが、それだけではもったいないです。
- タレスは水
- アナクシマンドロスはアペイロン
- アナクシメネスは空気
という流れがあり、その流れの仕組みを把握することで、問題解決力がアップします。
問題解決の観点から見た自然哲学の発展
論理的な結論
タレスは万物の根源を水と結論づけました。
これは多くの観察調査からデータを集め考察した結果です。(現代からすれば大したことはないかもしれませんが、当時としては革新的なことです。)
つまりデータをもとに推論を重ね、論理的で納得感のある意見が出来上がったのです。
論理的に見える結論のチェック
弟子のアナクシマンドロスは万物の根源をアペイロンとしました。
まずアナクシマンドロスは師匠のタレスの意見で見落としがないかチェックします。
当時のギリシア世界では対立する属性(火と水や、大きいと小さいなど)は互いに打ち消し合うと考えられていました。
水から打ち消し合う火までは作れないのではないか?という仮説を立てたのです。
打ち消し合ってしまうものまで作り出せるものは何なのか?アナクシマンドロスは考えます。
そこで出した結論がアペイロンという概念上の物質でした。
触ることもできないし、見ることもできない、だが確かに存在する物質であるとしたのです。
おそらくアペイロンというのは仮説として立てたものでしょう。アナクシマンドロスはそれがなにか見つめる前に時間切れになってしまったのではないかと思います。
はじめの結論を全否定しない
タレスの論理的で正しいように見える意見について、別の角度から検証をしてみた結果、
タレスの「万物の根源は水」には穴があることを発見し、
その穴を埋めるために、タレスの万物の根源論そのものを否定せず、
「どんな条件を付け加えれば、対立する属性すら取り込める万物の根源がわかるのか」
を考えたのだと思います。
ここで「万物の根源は水じゃないんだから別の物質を調査しよう」となると、
また一から始める必要が出る上に、やり直した調査から導き出した結論が間違っていたら、ふたたび一から始めるようになってしまます。
そうなっては永遠に「論」は発展しなかったでしょう。
はじめの結論を修正するための条件を考える
そこでアナクシマンドロスは、触ることもできないし、見ることもできない、だが確かに存在する物質
という条件を付加したのです。
そしてアナクシマンドロスの弟子のアナクシメネスがミレトス学派として論を完成させます。
触ることもできないし、見ることもできない、だが確かに存在する物質
これが一体何の物質なのか?考えた結果が「空気」だったのです。
しかしタレスの「万物の根源は水」を「空気」に入れ替えただけでは進歩していません。
そこでアナクシメネスは希薄と凝縮という変化のプロセスを提示したのです。
「空気」を凝縮すれば水になり、「空気」を薄めれば火になると説いたのです。
(動画内で解説していますが、口をすぼめて息をフーッと吹くと冷たい息が出て、口を開いてハーッと息を吹けば温かい息が出ますよね。それをもっと凝縮したり薄めたりすれば水や火になるとしたのです。)
今の科学知識で考えればトンデモですが、実際にフーッとハーッで温度は変化しているので当時は説得力があったのです。
空気→水 ではなく 空気→凝縮→水というように変化までのプロセスを付加したのです。
アナクシメネスは希薄と凝縮というプロセスを追加することで師の意見を超えて「論」を完成させることができたのです。
まとめ
ここまでのまとめです。
まず調査観察から論理的な結論を出します。
次にその結論に穴がないか?様々な角度から検証します。
穴があれば、その穴を埋めるにはどんな条件を付加すればよいか考えます。
条件を付加した上で新しい結論に向けて考えるのですが、もし結論が出ないようなら結論までの道のりで何か付加できるものはないか考える
このように条件を付加していくことで、より良い結論に向けて進むことができるようになります。
グーグル検索でもand検索しますよね。
こういったことは学校の倫理の授業では教えてくれないので、ブログやYou Tubeで解説していきたいと思います。