この記事を読んでわかること
この比較はまったく別のことを比較していることがわかります
書くことによってRASが刺激されます。その刺激により脳が活性化&成長させることが狙いです
書く習慣によるメリットがわかります
ブログを書いている人はこんな人
私は塾を経営しています。
『書いて覚えなさい』と『書いて覚えるのは時間の無駄』で悩んでいる生徒がいました。
それぞれにどんな意味があるか説明したところ納得してくれたので記事にて共有します。
■結論
- 私は『書いて覚えなさい』派です。
- 『書いて覚えなさい』はRASを刺激して脳が活性化する=覚えやすくなる&脳の成長が目的です。
- 『書いて覚えるのは時間の無駄』効率よく記憶するための方法論の一部にすぎません。
- 書く習慣は人生を豊かにします。
『書いて覚えなさい』と『書いて覚えるのは時間の無駄』どちらが正しい?
私は『書いて覚えなさい』派です。
なぜなら、書く習慣をつけることが、その後の人生にプラスに働くからです。
まずは『書いて覚える』と『書いて覚えるのは時間の無駄』は比較の対象が違うことをきちんと認識しましょう。
選択的注意とRAS
脳には記憶するもの記憶しないものを勝手に振り分けるフィルターがあります。
その機能をつかさどっている部位をRAS(脳幹網様体賦活系)といいます。
例えば下の画像は『スカイツリーの画像』です。
ビルの上にある看板と、赤い看板にそれぞれ何と書いてありましたか?
もう一度画像を見てしまった人は、看板は脳のフィルターによって記憶できていなかったことがわかると思います。
私が、画像の前に『スカイツリーの画像です』と言ったことから脳の注意はスカイツリーに向かい、その他の画像は目には入っているのに覚えていない状態になります。
このフィルターを心理学では選択的注意と言います。
なぜ視界に入るもの全て覚えないで選択的注意のみ覚えているかというと人が狩猟採集していた時代までさかのぼります。
うっそうとした森の中で、獲物をとるとき、サーベルタイガーのような天敵に出会ったとき、いろいろなところに注意が向かってしまうと集中できないためです。
選択的注意によって獲物や天敵のみに集中することで人は生き残ってきたのです。
その機能は今でも健在であることは先ほどの画像の例でもわかると思います。
RASと脳内物質
選択的注意が働いて集中すると勉強において重要な脳内物質が投射されます。
それはノルアドレナリンです。ノルアドレナリンは脳を活性化させ記憶力や集中力を高めます。
選択的注意を自分でコントロールする方法
『書くこと』『話すこと』は手を動かしたり、話したりすることです。
体を運動させることによって、RASは活性化し、体を動かしていることに注意をむけます。
危険を感じたときはこのような命令を出しています。
書いているときはこの反対のことが起きています。
このように手を動かすことで脳に刺激を与え集中力や記憶力を高めることができるのです。
『書いて覚えなさい』は脳を活性化し自分の能力を高めることが目的
つまり、『書いて覚えなさい』というのは手を動かすことによって脳を活性化させる効果があり、記憶力、集中力を高めることができるということです。
体を動かすことが大事なので声を出して覚えることも同じ効果があります。
書くことで脳に選択的注意を向けさせて自分の能力を底上げして勉強することが目的になります。
『書いて覚えるのは時間の無駄』効率よく記憶するための方法論の一部
覚える=記憶に残すには『書く』『話す』『読む』に注目しても意味がありません。
記憶というのは覚えたいものを感覚記憶⇒短期記憶⇒長期記憶の順に脳に保管していく必要があります。
長期記憶に保管するためには精緻化が必要
記憶を長期間残すためには精緻化と言って、
- すでにある知識と覚えたい知識を関連付けすること
- 知識を構造化して理解すること
- 画像や音と関連させて覚えること
などが必要になります。
どんなにたくさん『書く』『話す』『読む』をしてもこれらの精緻化の作業を脳内でしていなければ意味がありません。
反対に言えば、何をしても精緻化さえできていれば覚えられます。
『書くことは時間の無駄』の意味
『書く』と『読む』を比較したとき、手を動かす分だけ遅くなるので、読んだ方が早いということです。
精緻化しても長期記憶にするには繰り返す必要があります。そのため繰り返すスピードが早い方が覚えるのも早くなります。
しかしこれには前提条件があります。
- 書いている時と同じくらい脳が活性化している
- 覚える内容が精緻化できている
つまり10回繰り返せば必ず覚えられるという前提条件があれば、『書く』『話す』『読む』のなかで繰り返すスピードの速い『読む』が一番効率的ということになります。
10回繰り返せば絶対に覚えられるなんて誰にもわかりませんよね。
つまり、『書く』と『読む 』を同条件で比べることはできないということです。
『書いて覚えなさい』と『書いて覚えるのは時間の無駄』は比較できない
『書いて覚えなさい』は覚えるための状態を整えることを言い
『書いて覚えるのは時間の無駄』は覚えるための状態が整ったときのことを言うので比較するものではないということです。
『書いて覚えなさい』の真の目的は書く習慣をつけること
私は『書いて覚えなさい』派ですが、真の目的は書く習慣をつけることです。
テストや受験で『書いて覚える』『書くのは無駄』のどちらで良い点数、合格を勝ち取ってもそれは成功体験になります。
その成功体験から次のようなイメージがつくのは避けられません。
- 書いて覚える・・・書くことにポジティブなイメージがつく
- 書くのは無駄・・・書くことにネガティブなイメージがつく
成功体験によるイメージは無意識につくものです。仮に『書くことは無駄』と思って勉強した人が『今は書く習慣がある』といった場合は、別の成功体験によってネガティブなイメージが上書きされているだけです。
テスト勉強や受験勉強などの人生で避けられないイベントのときに、
- イベントのついでに書くことにいいイメージを持つ
- イメージを上書きするために別の成功体験の機会をつくる
人生トータルで見たら書いて覚える方が効率的ですよね。
書くことにはたくさんのメリットがある
脳はいろいろな脳細胞をつなぐ神経が活動して、考えたり体を動かしたりします。
脳の大きさは15歳くらいで大人と同じになります。その後は神経をたくさんつなぐことで脳を質的に成長させることができます。
神経をつなぐには考えたり、体を動かしたり、あるいはそれを同時に行うことでどんどん神経がつながって脳が質的に成長します。
書くことは考えること、体を動かすことが同時に行われていますよね。書くことで脳の神経がどんどんつながっていき脳も質的に成長するのです。
書く習慣のある人というのは、脳が質的に成長している人とも言えます。
書く習慣によって脳が質的に成長した人は得られるものがたくさんあります。
- 創造性
- 問題解決力
- 自己肯定感
- 脳の老化を抑える
他にもたくさん!
書く習慣で得られるものは、ありすぎてこの記事ではあげきれません。
そしてどれも人生を豊かにしていくために大切なものです。
『書いて覚えなさい』は目先のテストや受験ではなく人生を豊かにするためのアドバイスなのです。