この記事で解説すること
- ビジョン、ミッション、バリューについて企業の例をあげながら違いや目的について解説します。
- その次にビジョンを設定するメリットを解説します。
- 最後に個人でビジョンを設定する方法について解説します。
ブログを書いている人
中小企業診断士として企業のビジョンについてアドバイスをしてきました。
塾を経営して多くの生徒が学び成長する姿を見てきました。
その経験から、変化が激しく、情報過多の現代は個人もビジョンを決めることで有意義な人生を送ることができるのではと考えるようになりました。
この記事はその考えをもとに書きました。
ビジョンとは何か
ビジョンの辞書的な意味は未来像や将来の見通しのことを言います。
① 将来のあるべき姿を描いたもの。将来の見通し。構想。未来図。未来像。 「福祉国家の-を示す」
企業のような組織において、将来のあるべき姿は必要です。
しかし、
『将来は大きな会社になる!』
だけでは、取引先も従業員も相手にしてくれませんし、どうやって大きな会社になるのかもわかりません。
そこで将来のあるべき姿を達成するために、ミッション、バリューというものが必要になります。
ミッションとは
ミッションとは組織の目的や存在意義のことです。
例えば、保険会社は顧客に保険商品を販売します。
顧客はなぜ保険商品を買うかというと、将来の不安に備えるためですよね。つまり保険商品を買う=将来への安心を買うということです。
顧客にとって保険会社とは将来の安心を保証してくれる存在であると言えます。
保険会社からすると、保険商品を買う人=将来を不安に思っている人がいるから存在できると言えます。
これらをまとめると
『将来を不安に感じている人に保険商品を通じて将来の安心を保証する』
ということが保険会社の存在意義=ミッションということになります。
ミッションの要素としては次の3つがあります。
- 誰に 将来を不安に感じている人
- どのように 保険商品
- どうする 将来の安心を保証
プラスアルファとして、有意義な目的であれば従業員のモチベーションが上がります。
有意義とは道徳的に良い、社会的に良いとされる目的のことです。
ユニクロのファーストリテイリングのミッションとバリューがわかりやすいので引用します。
ファーストリテイリンググループのミッション ─ Mission
ファーストリテイリンググループは─
■本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
■独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します
FAST RETAILING WAY (FRグループ企業理念)より引用
- 誰に 世界中のあらゆる人々に
- どのように 本当に良い服 新しい価値を持つ服
- どうする 喜び、幸せ、満足を提供
実際にユニクロは世界中にありますし、ヒートテックのような新しい価値を持つ服を売っていますし、私たちはそれを着ることで満足していますよね。
バリューとは
バリューとは価値観のことです。
ただ単なる価値観ではなく、行動を伴うので行動指針と言ったりします。
何が正しく、何が大切かガイドラインを決めてミッション達成のために行動します。
バリューもファーストリテイリンググループがわかりやすいので引用します。
私たちの価値観 ─ Value
お客様の立場に立脚
革新と挑戦
個の尊重、会社と個人の成長
正しさへのこだわり
FAST RETAILING WAY (FRグループ企業理念)より引用
ユニクロのセルフレジは、まさにレジの待ち時間を解消しようというお客様の立場に立脚した革新的なレジですよね。
一つ一つの施策や商品はこのバリュー(価値観)をもとにつくられています。
ビジョンとは
ここまで説明してきた、ミッション、バリューによって何を成し遂げるか、どんな未来が待っているかを明確にします。
先ほど挙げた『将来は大きな会社になる』のようなアバウトなものではありません。
明確に言語化することが必要です。
例えばANAグループなら
ANAグループは、お客様満足と価値創造で
世界のリーディングエアライングループを目指します
リーディングエアライングループ=世界一位の航空会社になるというように明確です。
ソフトバンクグループなら
『世界の人々から最も必要とされる企業グループ』を目指しています
ソフトバンクグループのように様々な事業を展開している企業の場合は、その業界で世界一になるというよりも、『必要とされる』のように企業としてどうなりたいかを明確にしています。
ビジョンをつくるメリット
企業や組織、この後に説明する個人にしても、時間やできることというのは限界があります。
自分の持っているものを自分の目指す方向に向かって全力で集中できることが最大のメリットです。
反対に方向を決めず、あれもやりたい、これもやりたいでは結局何も成し遂げられません。
また企業や組織、人というのは集中するのが苦手で、すぐに目先のものを優先してしまいます。
目先のものに惑わされないためにもビジョンが必要なのです。
ビジョンを個人に生かす
企業や組織と同様に個人もビジョン、ミッション、バリューを設定することで、次の3つを決めることができます。
- 自分は何者なのか (ミッション)
- 自分はどんな価値観で行動するのか (バリュー)
- 自分は何のために生きるのか (ビジョン)
まとめて信念と言ってみたり、軸と言ったりします。
個人のビジョンも企業のビジョンのように言語化することが大事です。
言語化することで、自分の人生に一つの大きな軸ができます。
現代は情報過多の社会なので、自分の軸を決めておかないと、あれも良いこれも良いと目移りしてしまい、結局何もせずに時間だけが過ぎてしまいます。
何もしない、周りの人や学校、勤め先の影響力に流されないためにも自分の人生の軸を決めておくと言うのは大切なことなのです。
個人のビジョンの例
個人のビジョンで世界一有名な人の例を紹介します。
私には夢がある。それは、いつの日か、この国が立ち上がり、「すべての人間は平等に作られているということは、自明の真実であると考える」というこの国の信条を、真の意味で実現させるという夢である。
私には夢がある。それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である。
私には夢がある。それは、いつの日か、不正と抑圧の炎熱で焼けつかんばかりのミシシッピ州でさえ、自由と正義のオアシスに変身するという夢である。
私には夢がある。それは、いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である。
AMERICANCENTERJAPAN 国務省出版物 米国の歴史と民主主義の基本文書 より引用
マーティン・ルーサー・キング、ジュニア(キング牧師)です。
明確な未来像がありますよね。
そして彼はこの夢を実現するために、非暴力主義による公民権運動を行なっていきます。
その結果は歴史の教科書にも載っているとおりです。ジョンソン大統領の時に公民権法が制定され、建国以来200年アメリカで施行されてきた、法の上における人種差別を終わらせることができました。
個人のビジョンを作る方法
キング牧師のような偉大な人物でなくてもビジョンは作れます。
ミッションは誰に、どのように、どうするかの視点で考えてみましょう。
例をあげますが正解は無いです。なぜなら人それぞれだからです。
自分なりに納得のいくものが作れればOKです。
また企業のビジョンと同じで数年ごとに見直していきましょう。
質問しますので自分で解答を考えて書き出してみましょう。
質問① ミッションに関する質問です
あなたは誰のために生きるのですか?
その人たちに何をしてあげたいですか?
その結果、その人たちは喜びそうですか?
人は社会性のある生物というのはゆるぎない事実です。どんな人でも生きているということは誰かと関わりがあります。
それを自分で決めましょうということです。
親ですか?友達ですか?家族ですか?自分だけですか?会社ですか?
質問② バリューに関する質問です
あなたが行動するときに守りたい価値観は何ですか?
あなたがされたら嫌なことは何ですか?
価値観とは自分がされて嬉しいことをして、されたら嫌なことはしないようにすることです。
例えば昔の中国の人は五常と言って仁・義・礼・智・信を大切にしていました。
仁 人を思いやること
義 利欲にとらわれず、なすべきことをすること
礼 上下関係を守ること
智 学問をして正しい判断を下せること
信 友情に厚く、言ったことは守る、嘘は言わない、約束を守る、誠実である
質問③ ビジョンに関する質問です
あなたはどんな未来を手に入れたいですか?
キング牧師の例を見ると、ものすごく具体的ですよね。
かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつく
4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住む
私たちはキング牧師のような偉大な人では無いので、もっと即物的でも良いと思います。
例えば家を建てたいとかマンションを買いたいとか
その他にも家族と楽しく過ごしたいとかでも良いですよね。それを具体的にイメージできるようにしてみてください。