一生懸命勉強しているのに覚えている感覚がない
頑張って勉強したのにテストの時に思い出せなかった・・・
もしかして自分は記憶力が悪いのでは?と思う前にこの記事で記憶のメカニズムについて理解を深めていきましょう。
あなたの記憶力が悪いわけではなく、記憶の仕組みを利用した勉強ができていなかったことがわかるはずです。
勉強で覚えるために必要な記憶の種類
記憶は覚えていられる時間によって3つに分けることができます。(スクワイヤの記憶分類)
- 感覚記憶 意識しないと記憶に残らない
- 短期記憶 数秒~2週間程度で忘れてしまう記憶
- 長期記憶 一説には一生忘れない記憶
あなたが勉強する際に意識してほしいのは短期記憶と長期記憶です。
結論から言うと、覚えたことは長期記憶へ保管すれば忘れません。
短期記憶のままだから忘れてしまうのです。
長期記憶に記憶することが効率よく勉強するための近道です。
まずは短期記憶と長期記憶の特徴について知っておきましょう。
勉強の内容を忘れる?短期記憶とは
短期記憶は特徴が2つあります。
- すぐに忘れる
- 7つ前後しか覚えられない
短期記憶はすぐに忘れてしまう
短期記憶とは、時間とともにどんどん忘れていってしまう記憶です。
たとえば、電話番号などの意味のない数字の並びなどです。
その場では覚えていますが、すぐに忘れてしまいますよね。
短期記憶はあなたの脳に記憶されますが、すぐに忘れるようになっています。
覚えていられる時間は数秒から2週間程度といわれています。
あなたが教科書やノートを1、2回程度読んだだけで覚えられないのは脳の仕組みとして当然なのです。
もちろん成績の良い友達も同じように忘れています。
※教科書にアンダーラインを引くと効率よく勉強できます。
短期記憶は7つ前後しか覚えられない
短期記憶のもう一つの特徴は覚えられる数が少ないことです。
ジョージ・ミラーという人が、短期記憶の容量は7個程度であることを発見しました。
彼は論文の中で、一度聞いただけですぐに思い出す場合は、7個前後になるということを示しました。
この7個というのは「かたまり(チャンク)」の数のことです。
- 数字場合 080 1234 5678 なら3つです
- 人の名前の場合 織田信長 豊臣秀吉 徳川家康 で3つです。
このようなかたまりを7個(個人差により±2の変動がある)しか覚えられないということを発表しました。
7つしか覚えられないということは、あなたが学校の授業で50分間先生の話を聞いても全部覚えられないということです。
学校の授業でノートをとったりメモをしたりして形に残すことは、あとで思い出すための道具を作っているのです。
頑張って勉強してもすぐに忘れてしまったり、たくさん覚えられないのは勉強の内容が短期記憶にとどまっていることが原因です。
ノートの作り方はこの記事を参考にしてください。
勉強内容を覚えるために必要な長期記憶とは
長期記憶はその名の通り、長期間忘れることなく覚えていられる記憶のことです。
年単位、あるいは一生忘れない記憶もあります。
覚えられる数についても現在は無限に覚えることができるとされています。
例えば子供のころに自転車の乗り方を覚えてしまえば、10年くらい乗っていなくても、子供のころにやったような練習をしなくても乗ることができます。
数学の場合、計算の公式は忘れてしまいますが、1+1はいつまでたっても忘れていないと思います。
これは長期記憶に貯蔵されているため忘れないのです。
つまり勉強の内容を長期記憶で覚えればずっと忘れないということです。
テストなどで忘れてしまっているのは勉強した内容が短期記憶のままだからなのです。
あなたの頭が悪いとか記憶力がないという問題ではないのです。
勉強のコツ!長期記憶で覚える方法
勉強した内容を長期記憶で記憶すればよいことが分かったと思います。
長期記憶にもさまざまな種類がありそれに適した記憶法があります。
この記事では代表的なものを解説します。
記憶というものは、感覚記憶⇒短期記憶⇒長期記憶の順番に移動するので、直接長期記憶に覚えたことを入れることはできません。
そのため短期記憶から長期記憶へ移動させる作業が必要です。
短期記憶の維持
まずはすぐ忘れてしまう短期記憶を少しでも長く維持できるように繰り返し思い出すことが必要です。
心理学の用語で維持リハーサルというものを行います。
簡単に言うと繰り返し唱えたり書いたりすることで通常は数十秒しか覚えられないものを数時間~数カ月程度まで維持していくことができます。
例えば漢字の書き取りや英単語の暗記、歴史の出来事の暗記など繰り返し復習すると少し時間がたっても忘れませんよね。
しかし覚えたつもりなのに、テストの時に思い出せないことも多くあります。
ただ繰り返すだけではいつ忘れてしまうかわからない状態なのです。
さらに短期記憶は覚えられる数が少ないという特徴もあります。
そのため学校の定期テストなどでは多少の効果はありますが、受験勉強のように範囲が広く長期間勉強するものについては全く役に立ちません。
短期記憶から長期記憶へ
短期記憶から長期記憶へ記憶を移動する方法の一つに、精緻化リハーサルというものがあります。
精緻化リハーサルとは、短期記憶にある記憶を、
- 他の知識と結びつける
- 仕組みを理解する
この2つを繰り返すことで長期記憶に記憶を移動することです。
漢字で精緻化する例
漢字の場合「へん」や「つくり」の意味から覚えてみる方法があります。
てへんは手に関する漢字、さんずいは水に関する漢字だったりしますよね。
- 招 てへん 招(まね)く
- 沼 さんずい 沼(ぬま)
つくりは一緒で招くは手でこっちにおいでと言っているイメージ
沼は水がたくさんあるイメージですよね。
このようなことを考えながら書き取り練習をすることで効率よく覚えることができます。
漢検の公式問題集にもへんやつくりその他いろいろな漢字の成り立ちについて解説が載っています。
精緻化のためのヒントとして読んでおくと覚えやすくなります。
英単語で精緻化する例
英単語を暗記するなら、語源を使った覚え方があります。
例えばimpot(輸入)という単語ですが、portは運ぶという意味があります。
そこから転じて港という意味にもなります。
imは内側、中へという意味があるので組み合わせると中へ運ぶ→輸入となります。
export(輸出)は、exは外へという意味があるので輸出となります。
ここで解説した維持リハーサル、精緻化リハーサルのリハーサルという言葉は心理学用語で繰り返し唱えるという意味です。
どちらも1、2回繰り返すだけでは効果はありませんので何回も復習することには変わりません。
しかし同じ繰り返すにしても長期記憶にする作業をしないと頑張ったことが報われなくなってしまいます。
精緻化の方法はまだあります
精緻化は2つ方法があります。
- 他の知識と結びつける
- 仕組みを理解する
『他の知識と結び付ける』ときに、自分の過去の経験や自分の身体的特徴と結び付ける方法があります。
記憶の自己関連付け効果と言います。
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『仕組みを理解する』ときに、2つのテクニックを使うと良いです。
- 自分の言葉で言い直す(生成効果)
- 自分なりの理由をつける(精緻的質問の効果)
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また短期記憶には絵(イメージ)を理解する部分と言語を理解する部分で処理が異なります。
絵(イメージ)と言語の両方で覚えることで記憶しやすくなります。
このテクニックを二重符号化と言います。
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この記事の勉強まとめ
覚えられないと悩んでいるあなた!
あなたは別に頭が悪いわけでも、とくべつ記憶力が悪いわけでもありません。
そして成績の良い友達も特別な存在ではありません。
記憶の仕組みを理解して勉強の仕方を変えていきましょう。
繰り返し書いたり読んだりするだけでは短期記憶にしか記憶はとどまりません。
ほかの知識と結び付けたり、仕組みを理解する精緻化を行うことで長期記憶へ記憶させましょう。
リハーサルは繰り返さないといけません。繰り返しをするなら長期記憶に記憶できる方法で頑張りましょう。
記憶するときは他にもさまざまなテクニックがあるので自分なりに試してみましょう。