夏休みの最終日はすごく集中できてるよ
コツコツ進めなくても、自分にはあの集中力があるから大丈夫
ちょっと待って!
それは長く続かない集中力です。それを続けるとあなたは将来残念な人になってしまいます。コツコツ進めるようにしていきましょう!
集中力が高くなる脳の物質はいくつかあります。
そのうちの一つノルアドレナリンという物質は、夏休みの宿題をギリギリに始めると出ます。
それがなぜよくないか解説します。
この記事を書いている人はこんな人です。
私は塾を経営しています。
教育や脳科学の論文や書籍を数多く読むことで脳科学的にテスト勉強や受験勉強で効果のある方法、効果のない方法を知りました。
進級進学してもモチベーションが続くような指導をするようになってから、生徒の合格実績が向上しました。
開業2年目以降は9割の生徒が第1志望を合格しています。
この記事ではその中の一つノルアドレナリンの効果と危険性について共有させていただきます。
参考図書は樺沢紫苑著 『脳を最適化すると能力は2倍になる』です。
夏休みギリギリの集中力の高まりはノルアドレナリンという脳内物質の影響です。
集中力が高まる脳内の物質はいくつかあります。
この記事ではそのうちの2つドーパミンとノルアドレナリンの比較しながら解説します。
どちらも集中力が高まりますが、長期的に見るとノルアドレナリンに頼るのは危険です。
その危険な理由についても解説していきます。
勉強への集中力を高める2つの脳内物質
ドーパミンは長期成長型の集中力です。
ドーパミンは『うれしい』や『楽しい』ことへの期待や達成したときに出る脳内物質です。
ワクワクすることを実現したいときに、ドーパミンを出して集中力を高め目標を達成しようとします。
ドーパミンの性質を利用した目標設定や、ドーパミンを出す方法についての記事を読んでみてください。
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ノルアドレナリンは短期集中型の集中力です。
人がまだ原始人のころ、凶暴な野生生物にばったり出会ってしまったとき、戦うか逃げるか選択するときに出ていた脳内物質です。
自分の命を守るためにノルアドレナリンを出して短い時間にものすごい集中力を高めて生き残ってきました。
その名残があるので、危険やストレスがかかる場面でノルアドレナリンは出ます。
夏休みの宿題をやらずにギリギリになって慌てているとき、提出しないと叱られると思ってノルアドレナリンは出ます。
ノルアドレナリンが出ている間はすごい集中力が出るのでギリギリでも何とか終わるのです。
期限ぎりぎりで勉強してはいけない理由
ギリギリでも集中力高くなるんだよね。
じゃあコツコツやらなくていいじゃん!
コツコツでもギリギリでも集中力が高まるなら好きな方でやればいいよね。
ダメです。
ノルアドレナリンの特徴として慣れがあります。
ストレスを感じると集中できますが、慣れてしまうとストレスを感じなくなってしまい集中できなくなってきます。
ノルアドレナリンを出すために、もっと強いストレス(夏休みの宿題ならもっとギリギリにする)を感じないといけなくなってしまいます。
日頃からノルアドレナリンの集中力に頼ってしまうと、締め切りをもっとギリギリにするようになってしまいます。
ギリギリばかりでやっていると、本来の自分が宿題を終わらせるのにどのくらいの時間がかかるのか知ることができません。
そうするといつから始めればよいかがわからなくなり、よくわからないものや、やりたくないことを後回しにする癖がついてしまいます。
ノルアドレナリンを利用した集中力を使っても、ストレスから逃げられるだけで何も残らないのです。
短期集中型の良い使い方
ノルアドレナリンを出す集中力の高め方は受験など大事な時に限定して使ったほうが良いです。
千葉県の公立高校の受験は2019年度まで前期、後期の2回ありました。
前期後期どちらかで合格できれば良いのですが、たいていの生徒は前期試験のほうが力を出せています。
これは前期試験はいい意味で緊張できているので、ノルアドレナリンが出て集中できているという側面があったはずです。
本番で緊張しすぎてしまうと力を発揮できないかもしれませんが、程よい緊張は自分の能力をより高めてくれる例です。
集中する方法の種類を知り使い分ける
ドーパミンとノルアドレナリンの特徴を次の3つの切り口で解説します。
- 場面
- 持続力
- 力
集中できる場面
ドーパミン
- 褒められる
- うれしい
- 達成感を感じる
ノルアドレナリン
- 叱られたくない
- 時間が間に合わない
- 不快な気持ちになりたくない
という特徴です。
集中の持続力
ドーパミン
達成感が得られると期待したとき、達成感を感じたときにドーパミンが出ます。
そしてまた達成感への期待から勉強を続けたいというサイクルが続きます。
ノルアドレナリン
ストレスを感じるものから逃げることができたらもとに戻ります。
ストレスを感じることを無理やり長く継続すると疲れ切ってしまいます。
集中力の高さ
ドーパミン
始めは弱いですが、時間をかけて少しずつ強くなっていきます。
ノルアドレナリン
もともと生き残るための物質なので短期的にものすごい力を発揮します。
このような関係から
- 短期的な頑張りはストレスを力に変えるノルアドレナリン
- 長期的な自己成長はコツコツ小さな目標を達成するドーパミン
を使うといいです。
勉強での短期集中型の追い込みの危険性
テスト勉強や受験勉強に多いですが、危機感をもって取り組む時期が早すぎると疲れきってしまいます。
テスト後や受験後に
- もう2度とやりたくない
- あまりいい思い出が無い
という人は、コツコツ積み重ねて自分の成長を実感しながら進められていないです。
直前になって慌てて勉強を始めたパターンの生徒に多くみられます。
受験というのは次のステージに進むための通り道にすぎません。
ここで燃え尽きてしまうと高校や大学に行った後のモチベーションが上がらずスタートからつまづいてしまいます。
追い込まれて集中するノルアドレナリンは長くても1週間程度のブーストだと思っておきましょう。
そこまではドーパミンが出るような小さな目標を立ててコツコツ取り組んでいくようにしましょう。
自分の成長を実感できれば、進学して環境が変わっても自分のすることは変わらないという信念ができます。
勉強まとめ
集中力を高める脳内物質は長期成長型のドーパミンと短期集中型のノルアドレナリンがある。
ノルアドレナリンはストレスを回避するための集中力なので、ストレス原因がなくなれば終わり、あとは何も残らない。
ノルアドレナリンの集中力に頼ると、計画性や時間の使い方が身につかず、やりたくないことを後回しにする癖がつく。
- 普段は長期的な自己成長をするためにコツコツ小さな目標を達成するドーパミン
- 受験などの短期的な頑張りはストレスを力に変えるノルアドレナリン
で使い分けると良い。
短期集中型は長くても1週間にしておかないと燃えつきてしまう。
用語解説
ドーパミンは快の感情や勉強にかかわる物質です。記憶力や学習意欲を高める効果があります。
ドーパミン(英: dopamine)は、中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる。中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担っていると言われている。新しい知識が長期記憶として貯蔵される際、ドーパミンなどの脳内化学物質が必要になる
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ドーパミン
ノルアドレナリンは闘争か逃避の物質と言われ、ストレスにさらされると覚醒し能力を高めます。記憶の貯蔵にも必要な物質です。
ストレス・ホルモンのうちの1つであり、注意と衝動性 (impulsivity) が制御されている生物の脳の部分に影響する。アドレナリンと共に、この化合物は闘争あるいは逃避反応を生じさせて、心拍数を直接増加させるように交感神経系を動かし、脂肪からエネルギーを放出し、筋肉の素早さを増加させる。新しい知識が長期記憶として貯蔵される際、ノルアドレナリンなどの脳内化学物質が必要になる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ノルアドレナリン