テストや受験勉強が終わって振り返りをする人と、振り返りをしない人ではその後に大きな違いが生まれます。
私の塾では勉強の振り返りに一番力を入れています。
そのためこの記事では
- 振り返りをする理由
- 振り返りの方法(YWT法)
について解説します。
振り返りをする理由
振り返りを行う理由は2つあります。
- 次の行動をよりよくするため
- 振り返りそのもののレベルアップのため
一つずつ解説していきます。
次の行動をより良くする
振り返りは次の行動をより良くするために行います。
勉強の場合、次の3つを回転させてより良い勉強法を身につけていきます。
- インプット(読む、聞く)
- アウトプット(書く、話す)
- フィードバック(内省、振り返り)
振り返りとは③フィードバックのことです。
フィードバックをすることで、次のインプットとアウトプットの質を上げることができます。
フィードバック無きインプットとアウトプットでは、いつまでも同じレベルのことしかできません。
振り返りそのもののレベルアップのため
振り返りをすれば、誰でも同じように次の行動が良くなるかというと違います。
例)社会のテストで記述問題がうまくいかなかった場合
このように振り返りをした後の行動は人によって異なります。
振り返りは自分を客観的に見ることや、人の特性の知識、課題の知識、解決法の知識などを積み重ねることによって良い振り返りができるようになります。
このように積み重ねで得る能力のことを『メタ認知能力』といいます。
メタ認知能力は、数学の公式のように学校の先生に教わって身につくものではありません。自分自身を客観的に振り返ることを繰り返して少しずつ能力を高めるものです。
冒頭で述べたようにテスト後に振り返りをするのとしないとでは、大きな差となって表れてしまうのです。
この『メタ認知能力』は勉強の振り返りで鍛えたら勉強にしか使えないというものではありません。
様々な場面で使うことのできる知識なので学生のうちに鍛えておくほうが良いのです。
YWTとは
振り返りの方法はいくつかありますが、YWT法について解説します。
YWT法は日本能率協会コンサルティングが提唱した日本発祥の振り返りのフレームワークです。
コンサルティングで生み出された手法なので、主にプロジェクトの振り返りに使われますが、個人でも使えるくらいわかりやすく簡単な方法です。
YWTとはそれぞれの頭文字をとっています。
- Y=やったこと
- W=わかったこと
- T=次にやること
とてもシンプルですよね。
これにそって進めれば振り返りができます。
YWTの進め方
シンプルな手法で簡単にできますが、振り返りになれていない人は次のポイントを参考にして進めてみてください。
ここでは『英単語テストに向けて100個覚える』という目標に対して、結果が100個中50個正解だった場合を例にして解説します。
Y(やったこと)のポイント
- 事実を書く
- 工夫したことを書く
事実を書く
自分を客観的に見ることができない人は、事実を書くことに慣れていません。
『英単語テストの勉強で100個単語を覚えた』と書いたとします。
しかし実際のテスト結果が50個正解だったとしたら、テスト勉強で覚えられたのは50個です。
この場合は『英単語テストの勉強で50個単語を覚えた』というのが事実です。
工夫したことを書く
英単語テストの勉強で単語を覚えるのにどんな工夫をしたのかを書き出しましょう。
見るだけでは覚えられないですよね。
『発音しながら覚えた』とか『ノートに10回ずつ書取りした』とか何かしらの努力をしたはずです。
『発音しながら覚えた』『ノートに10回ずつ書取りした』をなぜやったのかを書くと、このあとのWの振り返りもスムーズにいきます。
W(わかったこと)のポイント
W(わかったこと)のポイントは2つです。
- Yと混同しないこと
- 工夫を振り返り考える
Yと混同しないこと
英単語の勉強をして50個英単語の意味がわかった。
この『わかった』ではありません。わかったことというのは工夫したことが効果的だったかどうかです。
Yで工夫したことを振り返ることができていれば、その工夫がよかったのか効果がなかったのか考えることができます。
工夫を振り返り考える
英単語100問のテストで50問正解だったとしたら、今回の方法ではあと50問足りませんでしたが、この方法ではダメだという考えはしません。
例えば『ノートに10回ずつ書取りした』という方法で勉強したとしたら、100個中50個まではこの方法で覚えられることが『わかった』ことです。
そしてその『わかった』ことから、次のことを考えましょう。
- なぜ50個までは覚えることが出来たか?
- あと50個のギャップを埋めるにはどうすれば良いのか?
この問いに絶対的な正解はありません。
自分なりの『こうではないか』と思えることを考えてWの欄に書き出しましょう。
T(次にやること)のポイント
W(わかったこと)で考えた『こうではないか』と思えることを次の行動に移していきましょう。
具体的にどんなアクションをするのか想像して、文字にしてみて下さい。
あやふやだったりすると、実際に行動できません。
このT(次にやること)は、次回の振り返りのY(やったこと)につながります。
そのため次の2つは必ず書きましょう。
- どんな工夫をするか
- その工夫をする理由は何か
YWTをシートに書いてみよう
頭の中で考えるだけではダメです。
なぜなら紙に書いて言葉にすることで初めて気づくことがあるからです。
YWTのフォーマットの画像をあげるので参考にしてみて下さい。
YWTのサイクルを回す
T(次にやること)のポイントで、Tに書いたことが、次のY(やったこと)につながると書きました。
YWTは1回で終わりではないです。
Tが終わったら、それをYとして繰り返しYWTのサイクルを回していきましょう。
YWTのサイクルを回す理由
YWTで一番考えるのはW(わかったこと)です。
このW(わかったこと)が初めからうまくできる人はいません。
なぜなら、メタ認知的知識と言って、振り返りに使う知識が足りないからです。
YWT法や他の方法でも良いので、振り返りのサイクルを回すことで、W(わかったこと)で考える内容はどんどん高度化していきます。
その積み重ねでメタ認知的知識が豊富になり、より良い振り返りができるようになります。
メタ認知的知識は別の記事でも紹介していますが、簡単に説明すると次の3つです。
- 人の認知特性の知識
- 課題の知識
- 解決法の知識
①人の認知特性の知識
- 一般的にはこのくらいできる
- 私ならこのくらいできる
例えば人は、短期記憶で7つ前後しか記憶できないという人の認知特性を知っていれば7つ以上いっぺんに頭の中に入れないようにします。
それなら自分は何個までならいっぺんに頭の中に入れて覚えることができるか体験して知っていくことが必要です。
②課題の知識
- 英単語テストはスペルを書ければ良い
- 英単語テストはスペルと意味を書ければ良い
- 英単語テストはリスニングしてスペルと意味を書く必要がある
このように課題ごとに必要とされるものが違います。課題に対する知識がどのくらいあるかです。知識が豊富なら、新しい課題も類推することができます。
③解決法の知識
- 単語を覚えるには書きまくれば良い
- 単語を覚えるには発音しながら書けば良い
- 単語を覚えるにはリスニングした音をすぐに発音してスペルも書くと良い
課題に対してどれだけ解決法を持っているかです。
持っている解決法を合体させたり、改良することで、新しい解決法を見つけることもできます。
先生また関係ない話してるな メモしなくていいや 問題の解き方がわかればいいよね 学校や塾の先生は教科書の太字や問題の解き方以外でも大事な話をしています。 大事な話というのは『メタ認知的知識』というもの[…]
YWT法はわかりやすい振り返りの方法であり、簡単にサイクルを回せるのでチャレンジしてみて下さい。
振り返りのフォーマットは今回紹介したYWTのほかにKPTという手法もあります。
以前は振り返り方法の一つYWTを紹介しました 今回はKPTという有名な振り返り方法があるので紹介します。 YWTの振り返り方法については記事を書いてあるので読んでみてください。 [sitecard subt[…]